摂食障害は、一般的に女性の疾患のように扱われることがありますが、男性で摂食障害に悩んでいる方もおられます。
確定的な統計はありませんが、日本の摂食障害者本人のうち、5~10%(おおむね20人に1人)が男性であるといわれています。
アメリカではその割合が20%以上で、さらに増加傾向にあるといわれています(2012年雑誌「GQ」オンライン記事より)。
男性の摂食障害者が少ないのは、自らが抱えた生きづらさを、摂食障害[食べること]という形ではなく、引きこもりや家庭内暴力、非行、アルコールやギャンブル依存といった形で解消しようという傾向があるなどの理由があると考えられています。
ある論文では、男性の摂食障害者は、ボディイメージ(贅肉がない筋肉質な体型をよしとする)の関わるケース、食事に対する不安(嘔吐恐怖など)の関わるケース、ジェンダー・アイデンティティに関わるケースの3つがその背景にあるとしています(2004.圓田)。
男性の場合、ボクシングや柔道など、体重制限があるスポーツをしており、過酷な体重調整を続けてきたことから発症するケースもあるといわれています。このとき、食べ物を噛んで吐き出すだけの「チューイング」(女性でも行う方はおられます)をやめられなくなる方もおられます。
また、昨今は、糖質制限などのダイエット法にこだわるあまりに正常な食事ができなくなるケースや、ストレスからくるやけ食いから過食症を発症し、本人にその自覚がないケースなどもあるといわれています。
摂食障害の治療や回復に向けて、男性だからと特別なことはないようです。
ただ、自助グループはその多くが女性で構成されていることから、参加することに勇気がいったり、グループの方針などで参加を断られることもあるようです。
カウンセリングや相談についても、なかなか地域では対応できる人が少なく、インターネット等を使って対応可能な支援者を探す必要もあるようです。男性の摂食障害をケアできる体制を整えることも急務です。