摂食障害は、症状が目に見えて深刻になるまでは、わかりにくいとされています。
それは、いくつもの理由があるのですが、大きく分けて3つの理由があります。
理由①「病気だと思いたくない」ケース
最初は普通に食事制限をしていただけなのに、徐々にその習慣に縛られていき、さらには過剰な努力を払うようになってしまった・・・というケースです。心身に悪影響が出る限界をいつのまにか越えており、気がついたときには体が蝕まれているのに、本人は「体が軽くなった」「ダイエットがうまくいっている」と誤解してしまうことがあります。
周囲は、ちょっと痩せすぎじゃないか、大丈夫だろうか、と心配しますが、本人が大丈夫だと主張することで、本人に身体症状等が出たときや生活することにままならなくなって、はじめてあわてることになります。
理由②「強制されている」ケース
陸上系スポーツや審美系スポーツの世界では、痩せていることが絶対条件である、あるいは他に比べて優位であることから、指導者等によって厳しい食事制限が行われているケースがあります。陸上、新体操、バレエ、スケートなどがその種目に該当します。
ファッションの世界もそうです。現在では問題が深刻化していることから、外国では「痩せすぎているモデルは採用しない」というルールに変更されています。
食事制限をすることで、拒食症と同じ状態(無月経、骨粗しょう症等)になっているケースが多く見られます。ですが、本人は食事制限をすればするほど指導者等に認められることから、やめようとは思いません。このケースはアスリート(子どもから大人まで)によく見られます。
理由③「とにかく隠したい」ケース
過食症(特に過食嘔吐)の状態になると、自分がそうであることを隠したいということで、周囲が気づかなくなることがあります。
本人は、自分が「普通じゃないことをしている」という自覚は十分にあります。ですが、それまで「ちゃんとしてきた」という自覚もあるため、ダメな自分を周囲に気づかれてはならないと必死で考えて隠そうとするのです。
本人の生活環境が孤立しているほど、周囲の人の気づきが遅くなります。そのため、治療や回復に向かうスタート時期は遅くなります。
摂食障害のシグナルは、以下のようなものがあると考えられています。
子どもの摂食障害を研究したイギリスの報告書では、次のように5つの兆候があるとのべています。
この事は、大人にも当てはまると考えることができます。
その1「食べ物に対しての態度がおかしい」
特定の(特に太りやすい)食べ物に対して拒絶したり、食べ物を細かく刻んだり、食べる量を減らして調味料を多用するなどの傾向がみられます。
その2「体重増加を気にする」
体重計に日に何度も乗る、体重のことを盛んに口にする、という傾向がみられます。
その3「ダイエット中であると主張する」
普通体型よりもやせているのに「ダイエット中である」と主張して、極端な食事制限等を行う傾向があります。
その4「容姿や体型にこだわる」
しきりに姿見で鏡を見たり、容姿や体形にこだわる発言をしたりする傾向がみられます。
その5「はっきりとした原因のないストレスを抱えている」
なんとなく疲れていたり、イライラしていそうな時に話を聞き、思い当たる節がまったくなければ、無意識の抑圧や栄養不足の疑いがあります。
これらのものに当てはまったからと言って、すぐに摂食障害であるとは言い切れませんが、いくつも当てはまる場合がある場合には、気にかけてみることが必要ではないでしょうか。