かつて、摂食障害は、青年期を迎えた方を中心に発症する傾向にありました。
しかし現在は、7歳から15歳ぐらいまでの、小中学生の間にも摂食障害が広がり始めています。
その傾向は、1990年代後半から見られ始めたとされています(摂食障害情報ポータルサイトより)。
この頃から、子どもたちの間でも「痩せてきれいであること」という価値観が広がり、大人たち顔負けのおしゃれが雑誌やテレビなどでも取り上げられるようになりました。そのため、ダイエットに取り組む子どもたちが増え、そこから拒食症またはそれに近い症状を発症するケースが出てくるようになったのです。
また、給食を食べることを強制されたり、学校内で嘔吐してそのことをからかわれ、嘔吐恐怖から食を拒むようになったケースもあるようです。
その一方、2000年代以降になると、コミュニケーション技術の発達により人間関係が複雑化したことや、習い事や学習塾の加熱により、大人顔負けに忙しい子どもたちが現れるようになりました。また、孤食や親から十分なケアを受けづらい子どももでてきました。そのため、子どもたちも強いストレスにさらされるようになっています。
その結果、やせ願望から摂食障害になるだけでなく、心の悩みから発症する子どもたちも出てきているのではないか、と考えられています。
そして、今はアスリートやアートの世界でも問題となっています。本来は発育のために十分な栄養が必要であるのに、試合や大会で勝つため、体重制限を厳しく行い、カロリーをできるだけとらないように・・・という指導が指導者の間で行われているというケースです。子どもたちは、大人の指導者のいうことを信じ、食事制限を続けます。「食を我慢すること=誉められること」と思い込んでしまい、摂食障害になるケースが徐々に明るみに出てきています。
子どもの摂食障害者に関する統計データはないようです。ですが、推定をすることはできます。
平成25年の調査によると、中学校1年生女子の約20%が「不健康なやせ状態」であるといわれています(日本小児心身医学会のパンフレットより)。この傾向は高校1年生の身体測定調査でも同様の傾向があり、そこから推定されるのは、小学校高学年から高校生に至るまで、「不健康やせ」状態の女子が5人に1人いる、ということです。
「不健康やせ」の状態は、「通常の成長曲線から見て、異常な状態である」というもので、「思春期やせ症(神経性食欲不振症・拒食症)」に近い状態です。ほとんどの子どもはやせ願望からダイエットをしすぎている状態だとも考えられますが、この中からいくらかの方が、食事制限等を止められなくなり、摂食障害に至るケースがあると考えられます。
なお、2018年に(一社)愛媛県摂食障害支援機構が、愛媛県内の精神科・心療内科103件に対し行ったアンケート(回答32件)によると、摂食障害の初診で来院した若年者は平均14.6歳、県内最年少のケースでは7歳という回答もありました。子どもの間でも、摂食障害は確実に広がっていると考えることができます。
「摂食障害情報ポータルサイト」内に、子どもの摂食障害についての情報があります。
「トップページ」>「摂食障害で悩んでいる方へ」>「小・中学生のみなさんへ」
「トップページ」>「周囲の方へ」 をご覧ください。
URL:http://www.edportal.jp/index.html